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VOL.3

  ロンドンで演劇三昧の留学生活。
将来はエンターテイメントの分野で、日本と海外の橋渡しがしたい
 
鵜池 治希(ウイケ ハルキ)さん 24才

■参加コース:IBPプログラム/ウエストミンスター大学(イギリス)
■参加期間:2002年4月〜2003年4月
■インターン先:European Association Network(教育関連NGO)、Student Union、蜷川幸雄ロンドン公演通訳スタッフなど
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■奨学金を得て、ロンドンで1年間のIBP体験

Q: ユース・インターナショナル・スカラシップ*1に応募されたきっかけを教えてください。

 留学する1年前に、新聞で奨学生募集の記事を見たんです。記事に「選考方法は小論文と面接と英語筆記試験」と書いてあったので、これなら大学の成績があまりよくない自分にも可能性がある!と思って応募しました。このスカラシップには、学費と滞在費が免除になる特待生、学費が免除になる奨学生、学費の一部が免除になる優待生の3種類があるのですが、自分の場合は奨学生に選ばれました。IBPに挑戦しようと思ったのは、ただ単に留学するよりも、1年間という限られた時間をとても有効に使えると考えたからです。内容の濃いプログラムが魅力的でしたね。

Q: 奨学生に選ばれた決め手は何だったと思いますか?

 イギリスに留学したい理由が、少し変わっていたからかな。もともと舞台にすごく興味があって、高校の学園祭で上映する映画の脚本を書いたり、インカレのミュージカルを作るサークルで活動をしていたんです。スカラシップ選考の面接の時に「エンターテイメント関連の仕事で、国際的な仕事がしたい」と話したのを憶えています。

Q: 留学中に「これだけは達成しよう」と決めていたことはありますか?

 留学するにあたって、自分の中でやりたいことの優先順位をはっきりつけていたんですが、資格にこだわるよりも、ロンドンでしかできないことを最優先して実行しようと考えていました。
 大学では1タームで4科目を選択できるのですが、科目を選ぶ時も将来に役立つというより、ここでしか学べないものという観点で選びました。具体的には、ロンドンの劇場や芝居について学ぶ「ロンドンシアター」という授業や、共同作業でダンスを作るパフォーミングア−ツの授業、ロンドンの美術館巡りをしながら、美術と社会の関わりについて学ぶ授業を選択。それと英語で第2外国語を学んでみたかったので、イタリア語の授業も取りました。

Q: ロンドンシアターやパフォーミングアーツの授業では、どんなことを勉強したんですか?

 まず、ロンドンの演劇事情の講義から始まります。それから芝居のリストを渡されて、2週間に1回くらいの割合で芝居を観て、その批評をレポートにして提出しました。プレゼンテーションの授業の時には、自分でシェークスピアや歌舞伎について調べ、その比較をトピックにしたこともありましたね。
 パフォーミングアーツの授業はワークショップ形式です。その場でグループ分けされて、15分以内にメンバーとディスカッションしてダンスを作るというものでした。ダンスと言っても、激しく踊るわけではなくて、もっとシュールな無言のダンスというか、身体表現という感じですね。


 
大学に入る前に通った英語コースのクラスメイト



■自力で劇場のインターン先を探したことも

Q: いろいろなインターンシップを経験されたそうですが、それぞれの内容について教えてください。

 主に3種類のインターンを体験しました。まずは遠距離での通信教育などを推進しているEuropean Association Networkという教育関連のNGOで2ヵ月ほど働き、インターネットでのリサーチなどをやりました。それから大学の生協のようなStudent Unionというところで大学生向けの雑誌制作の手伝いを1ヵ月。短期でしたが、蜷川幸雄さんのロンドン公演通訳スタッフを1週間やらせてもらったこともあります。

Q: インターン先は大学からの紹介だったのですか?

 NGOとStudent Unionは大学からの紹介でした。どうしても劇場でインターンがしたくて大学に相談したのですが、「劇場での仕事は競争率も高いし、短期だと難しい」という返事。大学に頼らずに、なんとか自力で見つけようと思って、芝居を見た後にスタッフの人に「働かせてください」と言ったりするのを何回かやりました(笑)。結局、働ける期間が短かったのでインターンは実現しなかったのですが、話しかけた相手の人から、担当者を紹介してもらったりしましたよ。今思うと、劇場で思いきって「働かせてください」と言った自分の行動が、その後の自分の糧になっています。蜷川幸雄さんのロンドン公演の通訳の仕事は、たまたま知人の紹介で参加させてもらうことができ、現地の音響スタッフの通訳を担当しました。

Q: ロンドンで劇場の裏側を覗いてみて、印象深かったことは?

 イギリスには演劇業界の労働基準法というのがあるようで、昼休みはちゃんと1時間取るとか、夜は11時に帰らなければいけない、ということが法律で決められているんです。イギリスらしいところでは、お茶の時間を取らなければいけないというルールもあって、お茶の時間が1日2回ありました。通訳の仕事を通して、日本とイギリスの文化の違いや、働くことに対する感覚の違いを垣間見ることができて、おもしろかったですよ。

Q: 出版社に就職が決まったそうですが、IBPが就職に有利だったと思いますか?

 就職活動をしていた時、面接でIBPの内容について聞かれたので、1年間の滞在中にさまざまな体験をして、それが自分の中に蓄積されていることを詳しく話しました。出版関連の分野には、すごく見聞の広い人が多いと思うのですが、IBPを通して自分の見聞が広がったことは、とてもよかったと思います。大学の勉強もそうですが、滞在中にスコットランド、ノルウェー、ギリシャ、オーストリア、ハンガリー、チェコ、フランス、オランダなど、ヨーロッパ各国を旅したことも、見聞を広げるいい機会になりました。イタリアではベネチア映画祭、パリではバレエ、ウィーンではオペラを観ることもできました。
 これから社会人生活が始まりますが、会社でいろいろ勉強させてもらいながら、早く仕事を覚えたいですね。将来的には、海外のエンターテイメントや文化を日本に紹介したり、日本のものを海外に発信するような活動に関わることができたらいいなと思っています。
 


*1:鵜池さんが利用したユーススカラシップは、学生のみが対象になっています。
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*社会人の方は一般募集枠にてIBP参加が可能です。
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