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認知症ケアの啓蒙活動を目的として、現地でチャリティコンサートを主催しました

参加コース:オーストラリア大学院留学
留学先:ウーロンゴン大学
専攻:Master of Science, Dementia Care
留学期間:2012年7月〜2013年7月

1983年生まれ、兵庫県出身。介護福祉士としてデイサービスセンターで働いた後、2012年よりオーストラリアのウーロンゴン大学でMaster of Science, Dementia Careを学ぶ。2013年7月に大学院修了。2013年10月頃に現地オーストラリアでNSW州政府の高齢者ケアセクションでインターンシップに参加予定。

チャンスがあれば、博士号にも挑戦したい

大学のオリエンテーション時にフェスティバルがあり、コアラが大学に来ていました

友人とウーロンゴンにあるお寺、Nan-Tien Temple で。お気に入りの場所です

ホリデー中に、ケアンズで行われた大きなミュージックイベント「ウクレレフェスティバル」へ。もちろん、ウクレレ持参で参加しました

チャリティコンサートでの一枚。素敵な教会でした

日本人の大学院仲間と、エアーズロックの卒業旅行へ

大学院の卒業式

大学院の卒業式で、いつもお世話になっているオーストラリア人の友達の両親と

Q:大学院留学を決めた理由を教えてください。

A:日本の大学に通っていた時に、夏休みの1か月間、アメリカに短期留学したことがあるのですが、その時に「チャンスがあれば、1年くらいの長期留学をしたい」と思うようになりました。「英語を勉強するだけでなく、英語で何か専門的な勉強ができたら」と思うようになったことがきっかけとなり、海外の大学院に挑戦してみたいと考えるようになりました。

Q:留学前の経歴を教えてください。

A:介護福祉士として、高齢者・デイサービスセンターで働いていました。認知症を抱える方のケアをすることが多かったことが、大学院の認知症ケアのコースを取ったことにつながりました。

Q:ウーロンゴン大学を留学先に選んだのは?

A:認知症のことを学びたいという具体的な目標があったので、キャンパスにNSW/ACT州の Dementia Training Study Centreがあり、定期的に認知症ケアの専門家が講義を行うフリーイベントがあるウーロンゴン大学を選びました。学費が一番リーズナブルだったことと、緑の多いキャンパスの雰囲気も魅力的でした。

Q:クラスメイトの国籍やバックグラウンドなどを教えてください。

A:私が取っていたコースだけでなく、大学全体に留学生が多いと思いました。私のクラスメイトの出身国は中国、台湾、韓国、パキスタン、インド、ネパール、アメリカと、国際色豊かでした。日本人は私1人。もちろん、オーストラリア人の学生もいます。ネパール出身の留学生が多かったことに驚きました。医療系コースのため、看護師や理学療法士、栄養士などのバックグラウンドを持つ学生が多かったです。

Q:キャンパス内の設備などは、日本とどう違いましたか?

A:日本の大学と比べるとキャンパスがとても大きく、まるでひとつの街のようでした。キャンパス内に銀行、保育所、美容院、旅行代理店等まであり、いろいろなお店があるので、とても便利。いくつか素敵なカフェがあり、私のお気に入りでした。さらにキャンパスは森の中のように緑豊かで、日本では見たことがない珍しい鳥も見られます。多くの学生がパソコンや本を持って外で勉強したり、ランチをしています。私も授業がない時にもキャンパスに行って、外で本を読んだりしていました。また、学生たちが主催するイベントがたくさんあり、出張動物園がキャンパスに来ることがあったのですが、その時にコアラを見ることができてラッキーでした。

Q:キャンパス周辺地域の魅力を教えてください。

A:ウーロンゴンの魅力は、何と言っても美しいビーチと、自然が多いのんびりとしたところ。歩いていける距離にきれいなビーチや素敵なカフェがあり、大学のすぐ横には王立植物園があります。シドニーやメルボルンに比べると刺激は少ないかもしれませんが、緑豊かで海と山に囲まれたウーロンゴンは、私にとってはちょうどいいコンパクトさで、アジアンスーパー等も何店舗かあり、満足してました。 もうひとつの魅力は、大学とウーロンゴンシティ周辺をほぼカバーしている、フリーバス! おかげで、ウーロンゴン周辺では交通費をかけることなく過ごすことができました。平日は10分から15分おきに来るので、とても便利でした。

Q:プログラムの学習内容について教えてください。

A:Master of Science (Dementia Care) というコースを受講しました。認知症を抱えている方のケア向上のため、学際的な視点から、認知症を深く理解するプログラムです。病院実習などはコースには含まれていませんが、講義で認知症ケアの方法論を学び、チュートリアルでディスカッションしたり、論文を読み込み、ケーススタディを通してどのように認知症の方へのケアプランを組むか、同僚や上司、他分野の医療スペシャリストとどう協力して、認知症を抱えているクライエントと彼らの家族をケアしていくかを考えていきます。私のコースは「Flexible」というタイプで、キャンパスでの授業とパソコンでのオンライン授業を併用するタイプのものでした。最近はそういったタイプのコースが多いようです。

Q:印象に残ったプロジェクトは?

A:「Advancements in Dementia Care」 という、認知症の方々を取り巻く倫理、尊厳について理解するという授業が印象的でした。教授からは、何気なく使っている言葉(「高齢者」「認知症」という表現の仕方)にも気を払うようにと、指摘されました。私たちが思っている以上に言葉は力強いと教えられ、発言する際やレポートを書く際にも、意識するくせがつきました。

Q:印象的な教授はいましたか?

A:留学前は、大学院の教授というと少し気難しかったり、敷居が高い感じがありましたが、どの教授もフレンドリーで、質問にとても丁寧に答えてくれる教授ばかりでした。各クラスとも和気あいあいとした雰囲気で、生徒の人数もそれほど多くないので、発言しやすかったように思います。 いろいろな教授にお世話になりましたが、特にコース担当教授には随分とサポートしていただきました。特に前期は授業についていくのが大変で、よく彼女のオフィスに行ってはわからないことを質問したり、ディスカッションしました。ひとつひとつのことに丁寧に的確にアドバイスしてくださり、彼女のサポートなしでは勉強についていくことはできなかったと思っています。

Q:苦労したレポートや課題はありますか?

A:どの課題も大変でしたが(笑)、一番苦労したのは「Reflective Practice 」という科目の課題です。自分でResearch Questionを決め、その答えを文献から導き出すというものでした。そのクラスでは看護・医療の基本的なリサーチ手法を学びますが、選んだ論文のクオリティに関しても評価されるため、細部まで神経を使って課題に取り組むことを求められました。言語の壁もあったこともあり、随分時間をかけてたくさん論文を読みこみ、一番難しかった課題でした。しかし、興味があったテーマを深く勉強できたことは本当に意味があったように思います。 この科目を通して、何よりも「自分を知る」ということ、つまり、自分の(仕事での)判断やクライエントに対する姿勢に、自分の考え方の「クセ」があるということを「知る」「気づく」ことがどれだけ重要かということを気づかされました。自分と深く向き合うことを求められるため、どの学生も苦痛を感じる科目だと思います。実際、他のクラスメート(留学生もオーストラリア人の学生も)も「この科目が一番難しかった」と答えていました。

Q:プログラムを通して身に付いたスキルや知識は?

A:認知症についての知識はもちろんですが、このコースを通して、認知症を抱えるひとりひとりへのケアの手法「Person-centred Dementia care」を学べたことが大きかったと思います。認知症を抱える方それぞれの人生が全く違うように、症状の進行具合や、必要なケアも多様だと学びました。さらに、オーストラリアの福祉・医療だけでなく、他国のケアについても学ぶことができたことは、非常に意味があったように思います。

Q:留学中、ボランティアを体験しましたか?

A:大学院のコースとは別に、個人的にさまざまな高齢者施設(老人ホーム、コミュニティセンター)でボランティア活動を行い、非常に良い体験になりました。私は音楽療法に興味があり、ウクレレやピアノを弾く音楽ボランティアをしました。オーストラリアは多民族国家なので、オーストラリアの方だけでなく、移民の方も多くいらっしゃいます。時々、英語でさえ通じないこともありましたが、コミュニケーションを取るのに音楽が随分と役に立ちました。家族のことも思い出せなかったり、表情が乏しかった方でも、音楽が鳴ると表情がパッと明るくなり、一緒に歌い出す人もして、音楽の力強さを身を持って体験できました。そういった経験が、大学院での課題に取り組む際も非常に役立ったように思います。

Q:留学中に、チャリティコンサートを開催されたそうですね。

A:現地の友人と共に、地元ウーロンゴンの教会でチャリティコンサートを開催したことは、オーストラリア留学での最も大きな経験です。NSW州の Alzheimer's Australiaという認知症ケアサービスを行っている公的機関への募金活動と、認知症について考えてもらう機会を作る啓蒙活動を目的として行いました。配布したパンフレットには、わたしが認知症に対して思うことをメッセージとして載せました。  当日は、友人だけでなく、ポスターを見て来てくださった方もいて「次はいつ?」と地元の方に聞かれた時は、本当にうれしかったです。予想以上に多くの募金が集まり、実際に Alzheimer's Australia のオフィスに行って寄付させて頂いたこと、そこで働く方たちと交流できた日のことは一生の思い出です。

Q:将来の目標やキャリアプランを教えてください。

A:大学院での勉強とボランティア活動を通して、移民者の認知症ケアについて非常に興味を持ちました。将来は日本か海外で、移民者への認知症ケアに貢献したいと思っています。大学院卒業後は、オーストラリアの公的機関でのインターンシップに取り組み、目標としていた、移民の方への認知症ケアに携わっていく予定です。音楽を含めた芸術療法と認知症ケアのリサーチにも非常に興味があり、チャンスがあれば、博士号にも挑戦してみたいと思っています。