オーストラリア大学院留学プログラム

アニメーションの比較文化と時間論を研究。
大学院最優秀作品賞や脚本賞を獲得した

大学:メルボルン大学(Victorian College of the Arts)
専攻:芸術
留学期間:2007年2月〜留学中

1985年生まれ、茨城県出身。中学卒業後の2001年からオーストラリア・メルボルンにあるエッセンドン・キロー・カレッジに留学。高校卒業後は現地のIDEA専門学校でwebデザインや3Dアニメーションを学び、2006年にRMIT大学アート学部マルチメディア科に編入。その後、メルボルン大学大学院(ビクトリアン・カレッジ・オブ・ザ・アーツ)に進学し、本格的にアニメーション制作をスタート。大学院最優秀アニメーション作品賞や大学院最優秀脚本賞を受賞した。現在は、同大学院の博士課程で研究を行っている。


ピクサーの現役スタッフとワークショップを行った

高校時代の2003年に描いた作品です

専門学校時代に作った3Dアニメーション「花hana」から。環境問題をテーマにした作品です

RMIT大学時代に作った作品から。3Dアニメーションなのですが、ペインティングの質感をイメージして作りました

RMIT大学卒業時

大学院時代、ショートフィルム撮影中の写真です。撮影のディレションをしました。左が僕で、右はK・F君。カメラを担当してもらいました

2007年に作った人形アニメーション「Winter Peony」からのワンカット

同じく「Winter Peony」からのワンカット。針金などを使い、花を再現しています

イアン・マッケイグ氏との一枚。

大学の編集室にてアートディレクションをした作品について力説中

現在は主にこんな感じの抽象的なアニメーションを作っています。知り合いのプロジェクトの一環で、メルボルンのフェデレーションスクエアのスクリーンで公開しました

Q:大学院に進学した理由は?

A:高校卒業時(高校留学体験にリンク)から目指していた大学だったんですよ。それで、自分の英語や技術のレベルが上がったらチャレンジしようと決めていました。

Q:修士課程で学んだ内容を教えて下さい。

A:修士課程ではアニメーションを学んだのですが、具体的にはアニメーションを作る工程の基礎や、さまざまなスタイルのアニメーション、編集、脚本ですね。ほとんどの授業内容が制作に必要な知識と技術を学ぶためのもので、研究といえるものは各々の作品制作の課程で実施するという感じです。このあたりから、僕の興味が技術だけでなく理論へとシフトし始めました。

Q:周りの学生は、どんなバックグランドの方が多かったですか?

A:年齢も分野も千差万別で、ひと言でいってしまえば「アーティスト」ですね。それぞれ思想を持ち、特技を持っているため、互いに議論し合ってお互いを高めていくという感じです。また、初心者も多くいました。

Q:アニメーションを学ぶ上で、メルボルン大学院ならではの魅力は?

A:オーディションや、プリテストで選抜された学生の集団というのが一番の魅力だと思います。周りが頑張っていると自然と触発され、気がつくと自分の意識レベルが向上しています。ピクサーで働いている方や現役で活躍されている有名人との交流の機会も頻繁にあるのも魅力の一つです。2007年には、ピクサーのマットペインターであるポール・トポロス氏と、コンセプトアーティストのイアン・マッケイグ氏が一緒にワークショップを行ってくれました(実は、イベントでたまたまメルボルンに来ていた彼らに、講師の一人がダメもとで連絡を取ったことが、2日間のワークショップに繋がりました)。実際に一緒に映像作品を作った感想ですが、特にイアン氏には、頭の回転とドローイングによる描写速度がとても速く、周りの時間の感覚すら変えるほどの存在感があり、影響されました。他にもピクサーや、ジョージ・ルーカス氏など有名監督の制作に関する裏話などが聞け、良い刺激になりました。

Q:博士課程に進もうと思った理由は?

A:単純にもっと勉強がしたかったからなのですが、修士課程の時に「自分はいったい何を求めているのだろう?」と過去を振り返ったことも、博士課程に進もうと思ったきっかけの一つです。過去の作品を見返すと、何らかの形で「植物(特に花)と時間」というものを常に表現していたのですが、「なぜ、そのようなものに興味があるのか?」と考えた時、やはり自分は、植物とか自然環境が人間に与える影響に興味があるという事に気づきました。その時から僕の中で、以前までは人を楽しませたり、ストーリーを伝えたりする一環でしかなかったアニメーションの意味が大きく変わりました。僕にとっては、アニメーションが「言葉にはできないものを知るためのツール」になったんです。この視点の変化が、博士課程へ進むきっかけとなりました。

Q:博士課程では、具体的にどのように勉強しているのでしょうか?

A:主に、アニメーションを通した比較文化と時間論をメインに研究しているのですが、僕は本を読むのが苦手なんです。というのも、子供の頃から文体の解釈が無限大にループしてしまって、一般解釈できずに同じページを30分以上眺めているなんて事が頻繁にありました。ですから、僕の勉強の基本は、自身の体験と、映像を見るという行為なんですよ。大学院では実際に何か映像作品を作ったり、他の学生に作品について質問したり、一緒になって考えたり作ったりしています。ちょっと分野が違いますが、映像を考察する延長でディズニーランドやシーなどに行くこともあります。もともと映像だったミッキーマウスが実体化し、また映像という空間に戻ったりする。僕にとってはそれだけでも興味深い場所なのですが、最先端の映像技術等も応用して使っていますから良い勉強の場ですね(笑)。

Q:今後の展望をお聞かせください。

A:研究を始めてからは、他の学生とのコミュニケーションや繋がり方に違いが現れました。以前は単に何を作っているのか、どういう思想を持っているのか等、単なる興味の範疇で惹かれていただけなのですが、現在、彼らは僕の重要な情報源でもあり、勉強のための方法の一部分です。かなり重要な存在になっているので、彼らと一緒にいられる環境作りが重要なのかなと思っています。このまま大学に残り、講師になるという選択もあるかもしれません。または、実際に海外の映像プロダクションで、チームで映画等を制作するという経験を得る事も良いと思います。どんな道にしても、このまま何らかの形で作品は作り続けていくと思います。

Q:アニメーションの分野で、オーストラリアの大学院留学を目指している人に向けて、アドバイスをお願いします。

A:大学院のすべての学科に共通していえる事ではないと思いますが、比較的自由な環境なので、自分のやりたい事に打ち込めます。自分の研究や作品制作に没頭し、高いレベルでのアドバイスを受けたいのであれば、最高の環境です。現在、僕にはアニメーター、心理学者などの3人の専属のスーパヴァイザーがいるのですが、全員自分で選びました。アドバイスが合わない場合は、自分でスーパヴァイザーを変更する事も可能です。とにかく何でも自分主体で動きます。オーストラリアは行動力によっては何でもできる魅力的な環境ではないでしょうか。

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