日本の伝統文化を世界へ!サカクラカツミさんインタビュー

世界で活躍する日本人パフォーマンスアーティスト 
サカクラカツミさん

「日本のかっこよさを世界に伝える」ことをミッションに、世界を舞台に活動するパフォーマンスアーティストのサカクラカミさん。
グローバルに活躍しながらも「日本の若者にこそ日本のかっこよさを知ってほしい」という強い想いを抱いています。今回、Global Insightsを通して日本の若者にメッセージを下さるということで、忙しい合間をぬってインタビューをさせていただきました。
世界のサカクラカツミさんのインタビュー、そして若者へのメッセージをご覧ください。

■プロフィール Katsumi Sakakura / サカクラカツミ 
パフォーマンスアーティスト 1963年生まれ。日本の伝統文化の「かっこよさ」に注目し、パフォーマンスと映像、音を駆使した総合芸術というかたちで表現。2004年ロサンゼルスで開催されたJAPAN EXPO2004を皮切りに、パフォーマンスを行った国は39カ国にのぼる。各国のメディアはもとより、17ヵ国のTV番組に出演。ライブパフォーマンスから伝わる日本の伝統文化の「動き、リズム、精神性」に高い評価が集まり、米TV番組のトーナメント企画でチャンピオンになった来歴もある。

日本のかっこよさを知らなかった20代

 今でこそ日本の伝統文化を取り入れたパフォーマンスをしていますが、実は日本のことが嫌いだったんです。20代の頃はとにかくヒップホップに夢中でして、肌を黒く焼いてドレッドヘアーにしてルーズな服を着て…黒人に憧れていたので、少しでも近づきたかった。
ターニングポイントは、ある黒人の女性ダンサーとの出会いです。当時、名古屋のダンススタジオで仕事をしていたのですが、海外からダンサーを招いたのです。一週間の滞在を終え、帰り際別れる直前にそのダンサーから言われました。
「カツミは肌を黒くして髪型もドレッドで黒人のように振舞っているけど、それが恥ずかしいことだとは思わない?私たちは肌の色であなたたちの想像もつかないような苦労をしているのに、わざわざ肌を焼いて黒くするのは少し違うと思う。それに、私たちから見たら日本の文化は素晴らしい面がたくさんある。なぜ日本人としてそこに誇りを持たないの?」 と。
この言葉にとても衝撃を受けました。彼女と別れたあと、そのまま美容室へ向かい、ドレッドを切って坊主にしました。そこから、日本のかっこよさって何だろうと考えはじめたんです。

アメリカの道端でパフォーマンス。見物客が一番集まったのは、空手

 それから「日本のかっこよさ」を追求したい想いは募っていったのですが、正直、何がかっこいいのか分からなかったです。
そこで、アメリカのロサンゼルスにあるベニスビーチという観光地に1週間滞在することにしました。ベニスビーチは当時、パフォーマーが集まっていることで有名で、誰でもビーチでパフォーマンスすることが許されていました。 そこで、思いつく限りのパフォーマンスをして、お客さんが何で足を止めるか見てみることに。
お客さんの名前を習字で書いてあげるパフォーマンスとか、ハイキックやスピンを取り入れた武道など。 僕は5歳から空手を習っていたのですが、あるとき空手の形(かた)を披露してみたんです。空手の「受け」とか「突き」をスムーズに20くらいつなげた簡単ものなのですが、これがすごく受けました。 ジッとして精神統一をしているだけで、どんどん人が立ち止まるんです。もっと派手なパフォーマンスが人を集めるのかと思っていたので、ちょっと意外でした。
このベニスビーチでの経験から、黒人ダンサーが言っていた「日本のかっこよさ」というものが分かってきた気がしましたね。それから、空手のメソッドを抽出して、かつエンターテイメント要素を加えながら自分の今のスタイルを確立していきました。

海外のダンスイベントを巡ってオーガナイザーに直接売り込み

無名のところからスタートしていますから、軌道に乗るまで苦労しました。自分のパフォーマンスを録画して、大量のビデオにダビングしてスーツケースに詰め込んで、海外のダンスイベントを巡りました。現地でオーガナイザーに声をかけて直談判です(笑)「最初は無料でいいからパフォーマンスをさせてくれ」というように。
お願いしたそばからビデオをゴミ箱に放り込まれたり、悔しい想いもたくさんしましたが、徐々にチャンスをもらえるようになってきました。 ロサンゼルスの大きなダンスイベントでも踊る機会をもらって、そこからオファーが来るようになりましたね。 2004年には安室奈美恵さんのツアーの振り付けも担当し、道が開いていきました。 Youtubeで公開したパフォーマンスの動画が100万回を超えて、フランスやシンガポール、イギリスBBCなどのテレビ番組で取り上げられ、一気に活動の幅が広がりました。

▼再生回数100万回を超えたYoutube動画

自分の核を見つけるまで、何十回も仕事を転々とした


 今、53歳で世界中のイベントに招待されパフォーマンスをしていますが、若いときは職を点々としていました。
新卒で入社したのはアパレル企業だったんですが、1日で辞めてしまいました。入社初日に各店舗を視察して自分がこれから従事する仕事について説明してもらったのですが、やりたいことと違っていました。正直に社長に話したら逆に関心されました。「嫌々な気持ちで3ヶ月くらい仕事を続けて、適当な理由をつけて辞めていく人もいる。3ヶ月間の教育コストのことを考えると、今きっぱり言ってもらった方がよい。」と。 それから10個以上の仕事を経験しています。料理人の見習いや板金塗装、喫茶店のウェイターも。さんざん転職を繰り返して、今に至っています。
でも、本当にやりたいと思えることを探すという過程はすごく大切だと思います。 好きになれない仕事をしに毎日通勤電車に乗るのは辛いじゃないですか。就職活動をして1社目で運命の仕事に出会えればラッキーですが、たくさん失敗を繰り返して、横道にそれて、最終的に最高の仕事が見つかればいいと思っています。 僕は横道にそれまくって、本当にやりたい仕事を見つける行為をとことんやってきて、やっと幸せなものをみつけました。それがあるから今、人生が楽しい。

他人と比べたらキリがない。比較対象は過去の自分。「己」に「勝つ」ことで道が開けていった

パフォーマンスで派手な動きをしているのですが、小学生の頃は病弱で運動オンチ、空手でも負けっぱなし。家ではいつも「あの人に勝てない」と愚痴っていました。その時に父が言ったセリフが今でも支えになっています。

カツミはいつも「あの人に勝てない。この人に勝てない」と言っているけど、世の中にはすごい人がたくさんいるんだよ。他人と比べたらキリがないのに、カツミは一生そう言いながら生きていくの?  

カツミの名前の意味は、「己に勝つ」という意味。本当に比較するべき相手は自分なんだよ。

自分の名前の意味を父に教えてもらってから、考え方が変わりました。他人と比較するのではなく、比べるのは常に自分。常に「本当にこれが俺の限界なのか?」と自問しながら行動するようになりました。
今の時代、インターネットも発達して色々な情報が入ってきますよね。世界各国のすごい人を知ることで、自分に自信をなくしてしまう人もいるかもしれない。そんなときは是非、比較対象を変えてみてほしい。他人と戦うのではなく、過去の自分と戦うのです。そうすることで、自分の殻を破って成長していくことができると思います。

TEDxTokyoに登壇。日本国内での活動を広げたい理由

これまで海外を主な舞台として活動してきましたが、これからは国内でもパフォーマンスと講演をしていきたいと考えています。 2020年には東京オリンピックが開催され、世界の注目も日本に集まっている。けれど、日本人自身が日本の魅力に気がついていないのでは?と感じることがあるのです。僕自身、20代の頃は日本の魅力なんて知らなかった。だからこそなおさら、若者に日本の文化を誇りにして欲しいと思います。
海外で活動しているときに気がついたことがあります。彼らは、たとえ自分の国の政情が不安定だったり、何か事件が起きていたりしていても、お国自慢をしてくるんです。「僕らの国の政府は今こんな素晴らしい取り組みをしている」というように。自分たちの国がいかに素晴らしいかを嬉々として話す海外の若者を見ていて、こんなふうに日本を自慢する若者がいるかどうか、不安になりました。
自分にできることは、日本人自身に日本の魅力に気づいてもらうきっかけになること。今は海外だけでなく国内での講演活動にも力を入れています。

留学中に「自分の核・強み・個性」を見つけられれば、それは一生もの

これから留学に行く若者、留学に興味がある若者には、自分の個性を大切にしてもらいたい。IBP ビジネス留学のような中身の濃い留学ならなおさらそう思います。 海外に飛び出すと、言葉のハンデがあったり、外国の人たちの積極的な言動にたじたじになることもあると思います。 日本人は民族的に気後れしたり、意見を通さなかったりする傾向があるので当然です。でも、自分の中で確固たる自信・核となるものを見つけて、しっかり意見を通せるようになるといいですね。 それが留学の間に見つかれば、それは一生ものです。
たとえば、僕の英語って本当に拙いんですけどへこたれません(笑)英語はあくまでツールなので、自分の中にしっかりと伝えたいことがあれば、コミュニケーションができるはず。英語が下手でもなんでも、自分の個性を信じで堂々と話すことが大事だと思います。日本人としての誇りを持って海外で活躍する人がもっともっと増えていくと嬉しいです。