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VOL.36

土原 茂揮さん   IBPプログラムで渡英、インターンをした経験を活かし、
商社のイギリス支社で働く
 
土原 茂揮(つちはら しげき)さん
1979年生まれ。関西学院大学卒業。2000年4月より、IBPプログラムのウエストミンスタ−大学コースに参加。帰国後は大学に復学し、2003年3月卒業。伊藤忠商事に就職し、現在ロンドンに赴任中。

■参加コース:IBPプログラム・ウエストミンスター大学コース
■参加期間:2000年4月〜2001年3月
■インターン先: Planning Aid For London
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熱意を持って留学することが大切

Q: スカラシップ応募を決めたきっかけは?

A:当時はまだ絶対的な将来の目標はありませんでしたが「将来、大きなフィールドで仕事したい」、「違う文化、価値観の中で自分を磨きたい」という思いが非常に強くなりまして。留学について調べているうちに、学校のポスターでインターンシップ留学を見つけて、応募したんです。今から考えると、ちょっと青臭い理由でしたが、熱意のある時期に留学できたことで、非常に充実した留学生活を送ることができたと考えています。

Q: 英語力上達のために工夫したことは何ですか。

A:とにかくいろいろなことに挑戦して、それを楽しむことが大切だと思います。自分の場合は、留学先とは違う大学で剣道部を見つけて、入部しました。一緒にスポーツをして同じ気持ちを共有することで、多くの親しい友人を作ることができました。国籍や年齢もさまざまな人たちと、練習後に大学のバーで飲む一杯は最高でした。
それから、開発途上国を支援しているOXFAMという団体が運営するチャリティーショップで、ボランティアとして働きました。イギリスらしさが詰まっているチャリティーショップで働く経験をしつつ、スタッフやお客さんと話すことで英語力も伸ばせる良い経験でした。
もちろん、常にCDやラジオ、新聞などを携帯して、どこでも英語に触れられるよう心がけたり、図書館に足しげく通って、本を読んだりという、基本的で地道な作業もしました。

Q: 大学で特に興味を持って取り組んでいた授業は?

A:アーバンデザインとマーケティングの授業です。どちらもグループワークが中心で、与えられた課題に対して、自分たちのアイデアをまとめ、最後にプレゼンテーションをするというスタイルの授業でした。アーバンデザインのコースは、経験がないにも関わらず2年生の授業を取ってしまい、最初の授業では全く話についていけず、スケッチも初挑戦で、非常に多くの時間を費やしました。他の学生に少しでもキャッチアップするために、教授に本を紹介してもらったり、クラスメイトに教えてもらったりして、何とかついていきました。

Q: 苦労した点はどんなところですか?

A:この授業はフィールドワークも多く、エンジェルというロンドンのトレンディーエリアや、スペインのバルセロナまでいったこともありました。一番大変だったのは「エンジェルのエリアの改善策を提案せよ」という課題。グループメンバーと人や車の通りを調べるために何度もそのエリアに通い、歴史を調べ、写真やスケッチを取り、アイデアをまとめて行きました。英語力や知識のなさをカバーするために、作業時間以外もそのエリアに行ったり、図書館に行ったりして努力しているうちに、最初は心配そうだった他のグループメンバーも段々と信頼してくれるようになり、なんとかグループの一員として作業に貢献することができました。「何が快適か、美しいか」といった価値観の違いが見事に表れて、面白かったです。最終的には、教授も絶賛の案を作り上げることができ、私の中では最も達成感がある授業でした。

Q: マーケティングの授業では、どんなことをしたんですか?

A:イギリス人学生、社会人経験のある北欧からの留学生と組み、新商品の提案とそのマーケティングプランを作り、プレゼンテーションをしました。コミュニケーションのリズムが日本とは違うので、相手が話し終わるのを待っていると、その前に次の会話が始まってしまい、なかなか会話の流れに乗って意見が言えませんでした。このままではマズイ、と思い、必死になって自分の意見を会話の中にねじ込んで行くようにすると、だんだん彼らのリズムの中でも議論に参加できるようになりました。クラスでプレゼンテーションを終えた瞬間の、グループメンバーと共有した充実感は非常に大きなものでした。この授業で、ビジネスやそれを作り上げていく過程の面白さというものを感じることができました。

Q: インターン先について教えて下さい。

A:大学で都市政策を勉強していたこともあり、その関係のインターンシップを考えていました。ある教授が、都市計画コンサルタントをしているNGOのチェアマンをしていることを聞きつけ、その教授の授業を取って話しかけるなどしてアピールした結果、Planning Aid for Londonという都市計画のコンサルタントをしているNGOで2ヶ月程働くことができました。ここでは、ロンドン各区の区役所を回って、アンケート調査やインタビューを行い、住民へのサービスを調べたり、測量のお手伝い、データ入力などをやりました。

Q: インターン中の印象的なエピソードを教えてください。

A:ある区役所を訪問した帰り、時間に余裕があったので、急遽もう1ヶ所訪問することにしました。アポなしで訪問したにも関わらず、事情を話すと、都市計画の責任者が丁寧に対応して下さいました。話が弾み、最後は笑顔で、「頑張れよ!」と送り出して下さいました。筋さえ通っていれば、熱意のある人や、若者に対して寛容に接してくれるイギリスの良い面を感じた瞬間でした。

Q: 帰国後はどのように就職活動をされましたか?

A:大学2年終了時に留学したこともあり、帰国後は復学して就職まで時間があったので、普通に就職活動しました。帰国後、チャリティーショップでのボランティアなどの体験をもとに、友人と商店街の空き店舗に子ども向けの文庫を設立するなど、留学で得たことを土台に活動する時間があったことは、自分にとってプラスだったと思います。

Q: インターン体験が、今の仕事に役立っていると思いますか?

A:現在は、伊藤忠商事の生活資材・化学品経営管理部に所属し、英国の子会社のファイナンスチームで、決算分析や日本向けの資料の作成をしたりしています。イギリスの会社で働くにあたって、さほど戸惑うこともなく入っていけたのは、イギリスの会社でインターン体験をしていたことも理由の一つだと思います。イギリスでは、若くても、職場でのポジションが高くなくても、みんながミーティングで意見を言い合います。また、この国にはそれを尊重する文化があるように思います。仕事のみに限りませんが、学生時代にそういった姿勢の中で生活したことは、今日の糧になっていると思います。

Q: 土原さんの将来のキャリア像を教えてください。

A:今の会社は海外にもたくさんの子会社を持っていますが、そういったところで現地の人を束ねて、経営していけるような力をつけたいと考えています。また、チャンスとアイデアがあれば、国内外問わず、自分で新しい事業に挑戦することも面白そうだと考えています。

Q: IBP希望者に向けてメッセージを。

A:私の場合、インターンという目標があることで、自分が何をやりたいのかということを早い時点で考えることができましたし、いったん方向が決まれば、普段から目的意識を持って活動することができます。留学したことによって、自分が動けば何かが変わる、熱意を持って行動すれば意外と受け入れられる、ということを感じました。気持ちひとつで大きく状況が変わることもありますので、熱い気持ちがある時に挑戦することは大切だと思います。
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