■オーストラリアでは、心理士になるための大学教育が体系化されています |
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Q: |
オーストラリアの大学院留学をしようと思ったのは? |
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日本で大学4年間と大学院で心理学を学んできて「海外での心理学はどのような状況なのだろう」「日本と比べて何が違うのだろう」という疑問が沸きました。一般的に、海外は日本より進んでいると言われていますが、何がどのように進んでいるのかを実際に見てみたいという気持ちが大きくなったからです。 |
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妹がオーストラリア留学中に訪ねたことがあり、自分にとって身近な国であったことが一番でした。さらに、心理学が進んでいるといわれる北米やイギリスと比べ、当時はオーストラリアの学費が一番安かったことも大きな理由となりました。 |
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海外に長期間住むこと、勉強することが初めてでしたので、留学をサポートしてくれる会社をいろいろみてまわりました。ICCは雑誌に掲載されていた広告でみつけましたが、担当の方がオーストラリア留学に非常に詳しく、かつ留学する本人にとって何が最善なのかをよく考えて対応をしてくださったことが一番の理由です。安易に留学を斡旋するのではなく、留学を希望する意味を一緒に考え、本当に留学すべきなのか、時期・場所などを率直にアドバイスしていただきました。 |
Q: |
申し込みから留学実現までが、かなり短期間だったそうですね。 |
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最初のカウンセリングから数ヶ月で渡豪しました。担当者の方は、私が日本で行ってきた心理学の学習経験や実習経験を考慮して、1年間という短期間でコンパクトに心理学を勉強できるコースを紹介してくださいました。当時、TOEFLは550点に届かず、条件を満たしておりませんでしたが、だめもとで大学にかけあっていただき、最後の最後でTOEFL 550点を満たしたことを覚えています。 |
Q: |
日本の大学で心理学を学んでいた時との違いは? |
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講義、ディスカッション、臨床現場の先輩方の話、エッセイ、文献講読、研究など科目内容が幅広く、体系化かつ学生が面白く学べるように工夫されており、短いコースでしたが、非常に豊富な内容に触れた気がします。その分、学生に求められることも多く、講義がない時間は図書館で調べ物をしたり、エッセイを書いたりしていました。半期毎にあるテストは厳しく、容赦なく落とされて卒業できなくなるため、英語のハンデのある私は必死でした。今から思い返しても、最も勉強漬けの時期でした。 |
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やはり苦労したのは英語でした。準備コースに入る時間がなかったため、2月にコースがスタートした当時は、講師の先生や友達が言っていることが聞き取れず、途方にくれました。先生方に英語がわからないことを説明し、録音して聞き返したり、講義後に何度も質問したりしました。講義の内容に少しでもついてゆけるように、シラバスを前もって読んで次回の講義を予習したり、文献を前もって読んだりしていましたが、そのおかげか最後は、良い成績で卒業することができました。
印象に残っている授業は、前期を通じて行ったMajor research projectです。自分の興味のある研究室での研究に参加し、論文を書くことを求められます。私は興味があったプロジェクトが満員であったため、それまでまったく縁のなかった「社会不安についての脳波研究」に参加することになりました。新しい器具、知識を覚えるのが大変でしたが、この研究プロジェクトを選んだことが、脳に対する興味を持ち始めたきっかけだと感じています。 |
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当時感じたのは、オーストラリアでは日本とくらべ、臨床心理士という職業がより確立されているということです。したがってオーストラリアでは、心理士になるための大学教育もより体系化され、卒業後の継続教育や講習も充実しているように感じました。
また、犯罪心理学、学校心理学、カウンセリング心理学、神経心理学など領域ごとに大学のコースも細かく分かれていることが日本とは異なる点だと思います。 |
Q: |
オーストラリアの大学院卒業後から現在までの経緯を教えてください。 |
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大学院卒業後は、リハビリテーション病院、大学病院精神科にて心理アセスメントや心理相談を行いつつ、大学院の博士課程に入学しました。現在はスウェーデンにあるKarolinska Institutet附属のDanderyd病院に研究・研修留学中です。私の関心専門領域は臨床神経心理学。この臨床神経心理学に関わる心理士は、主に脳外傷などをおってリハビリテーションを行っている方に対し、心理アセスメント、カウンセリング、認知訓練などを行っていきます。スウェーデンを選んだのは、社会福祉の充実、QOL重視の医療などで知られる北欧のリハビリテーションを実際に勉強したいと思ったからです。スウェーデンではほとんどの方が英語ができるため、英語での会話がほとんどですが、病棟の患者さんとは、片言でもできるだけスウェーデン語で話すように心がけています。 |
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シェアメイトとその友人たちと音楽会やインターナショナルパーティーをよくしました |

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留学当初の英語がまったくわからなかった頃、ホストファミリーは辛抱強く会話につきあってくれました |



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