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<英語試験情報>

「IELTSを徹底解剖!」

IELTSの出題範囲から傾向と対策まで。TOEFLとならぶ世界的なテストを徹底解剖!

イギリス留学希望者には必須
 IELTS(アイエルツ)は、イギリスをはじめ、オーストラリアやニュージーランドの高等教育機関や専門学校への進学を目指す場合、英語力を証明するものとして提出が求められるテストのひとつで、TOEFLと並び、世界的に有名。試験はイギリスのUCLES(University of Cambridge Local Examination Syndicate)が運営し、ブリティシュ・カウンシルが実施する。
 最近でこそ、IELTSとTOFELのどちらのスコアも認める学校が増えてきているが、IELTSが主流であることに変わりはない。イギリスの高等教育機関では、実践的・職業的プログラムよりもアカデミックなプログラムに重きをおく傾向が強く、英文を学術的に書く能力が求められる。そのため、記述式の IELTSのスコアを上げるための勉強が、イギリスの大学などで学ぶ際の助けになると考えるのがよいだろう。
  IELTSは、全国6ケ所にあるブリティッシュ・カウンシルで受験できる。場所により、月2回〜年4回の頻度で行われているが、再受験するためには前回の受験から90日以上経過している必要があるので、ブリティッシュ・カウンシルが行う模擬試験などで試験に慣れるなど、試験準備を入念にして、スコア・アップを図ること。

IELTSの出願範囲・形式など
 IELTSでは「聞く」「読む」「書く」「話す」の4つの視点から総合的な英語力が試される。リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4セクションで構成されており、この順番に試験が行われる。試験時間は正味約2時間50分。
 試験には、大学・大学院などへの進学希望者を対象にしたAcademic Moduleと、高校や職業訓練プログラムなど、高等教育以前の教育機関を目指す学生や移住希望者を対象にしたGeneral Training Moduleとの2種類があり、リスニングとスピーキングのセクションの問題は共通だが、リーディングとライティングのセクションは問題が異なり、General Training Moduleのほうがやさしい内容となっている。どちらのスコアが求められるかに関しては、学校によって例外も多いので、目指す教育機関がいずれのモジュ−ルを受け付けるのかを、学校に確認すること。
 試験結果は、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングのセクションごとのスコアと総合評価(overall)とが、それぞれ0から9の間で、0.5刻みのバンド・スコアとして通知される。なお、このテスト自体には合否というものがなく、各教育機関は、このスコアを入学審査の判断材料として用いることになる。通常、イギリスの大学・大学院レベルでBand6.0〜7.0、専門留学の場合もBand6.0は必要となる。

テスト・スコアの送付に関して
  IELTSのスコアは、受験日から約3週間後に郵送で通知される。スコアの発行日より 1ヶ月以内に依頼すれば、大学などの郵送希望先へ2通まで無料送付してもらえる(3通以上の送付依頼の場合は3通めから、また1ヶ月過ぎてからの依頼は、有料)。スコアの有効期限は2年。過去2年間の結果のなかで最高のスコアを提出すればよい。

IELTSのBandが示す受験者の英語レベル(Band3以下は省略)

Band レベル評価

9Expert User 英語を十分に使いこなせる。表現は適切、正確、流暢である。

8Very Good User 英語を十分に使いこなせる。時折、不適切、不正確な表現がみられる。不慣れな場所では誤解することもあるが、複雑で詳しい論証にも十分対応できる。
TOEFL/CBT TOEFL 670/293

7Good User 英語を有効に使うことができる。場合により不正確、不適切な表現や誤解もみられるが、複雑な表現にもほぼ十分対応し、詳しい論証も理解できる。
TOEFL/CBT TOEFL 600/250

6Competent User 英語をほぼ有効に使うことができるが、不正確・不適切な表現で誤解もみられる。かなり複雑な表現も理解でき、特に慣れている事柄についてはよく理解できる。
TOEFL/CBT TOEFL 530/197

5 Modest User 十分ではないが、たいていの場合、おおまかな意味を把握できる。ただし、誤解もままある。慣れている分野では基本的なコミュニケーションが取れる。
TOEFL/CBT TOEFL 460/140

4Limited User 慣れている事柄に関しては、基本的な運用能力がある。理解力・表現力ともしばしば問題があり、複雑な表現には対応できない。
TOEFL/CBT TOEFL 400/97


受験手続
■ 受験要領の入手方法
受験要項は、全国ブリティッシュ・カウンシルで配布。郵送を希望する場合は、「IELTS受験要項希望」の旨を示し、自分の住所、氏名を明記した返信用封筒(22cm× 28cm、200円分の切手貼付)を同封して郵便で申し込むこと。

■ 受験料
20,000円

■ 受験申請手続き
受験料を指定の銀行口座に振り込み、受験申込書と受験料の送付控、80円分の切手を貼った定型大(12cm× 23cm)と 200円分の切手を貼ったA4大(24cm×33cm)サイズの返信用封筒を指定されたブリティシュ・カウンシルに送付する。締切は試験日の1ヶ月前の到着分までとなっているが、定員になり次第受け付けが締切られる。受理された願書については、締切り後、受験票が送られてくる。

■ 受験申請手続き
ブリティッシュ・カウンシル
※札幌での開催に関する問い合わせは、東京のブリティッシュ・カウンシルまで

傾向と対策
1. Listening
日常会話からアカデミックな内容まで、英語の聞き取り能力が試される
試験の形式
試験時間は30分。あらかじめ録音されたテープを30分間聞き、約40問の質問に答える。回答は、試験に当って配られるブックレットにメモし、試験終了後、10分の時間が与えられ、この間に答案シートに書き写すことになっている。
内容と傾向
関連性のある4、5の文章(それぞれ1分程度)またはもっと長いひとつの文章(4、5分程度)を1セクションとして、4セクションで構成される。
  試験の前半では日常会話レベルの問題が出され、生活するのに必要な英語のリスニング能力の有無が測られる。後半では、学習したり職業訓練を受けたりする環境で話される英語を理解し、自己の目的(知識や技術の習得など)を遂行できるかどうかが評価の対象となる。問題は後半に行くにしたがい難しくなる。
攻略のポイント
リスニングでは、predict (予測)する力と guess(推測)する力が必要。問題文を一字一句聞くのではなく、全体の構造を理解することが大切。
 会話や文章は録音テープから1度しか流されないが、質問を聞き漏らしてしまったからといって、決してあわてないこと。テストの流れにおいていかれないように注意。

2. Reading
留学中に読むことになると思われるタイプの文章の読解力が試される
試験の形式
 試験時間60 分。4つほどの出題文に関し、全部で40 の質問に答える。Academic dule  ハスAミ!の場合、出題分の長さは、1,500 〜 2,000 語(長さは出題によって幅がある)General Training Moduleは、これより短かめになる。
内容と傾向
 出題形式は、出題文や図表のブランクを埋める穴埋め問題、文章完成問題、多肢選択問題、質問文に対する答えを記述するもの、出題文や図表に見出しをつけるものなどさまざま。
 リーディングのセクションでは、英語の文章を読む能力だけでなく、多くの情報の中から必要な情報を素早く正確に読み取る能力が試される。使われる文章は一般教養的なものがほとんどで、専門的知識が要求されるものは出題されない。ただし、文章は後半にいくにしたがって難しくなる。通常、論理的かつ詳細な議論を含む出題文がひとつはいる。
攻略のポイント
 リスニング同様、リーディングで必要なのはpredict (予測)する力と guess(推測)する力。問題文を一字一句読むのではなく、全体の構造を理解することが大切。

3. Writhing
英語で、正確かつ論理的に書く能力が試される
試験の形式
 試験時間は60分。2つのライティング課題が与えられる。時間配分は各受験者に任される。リーディングのセクションと同様、Academic dule 0ハスGeneral Training Moduleで課題が異なる。
内容と傾向
 ひとつめの課題は、グラフや図などで与えられた課題を整理し、記述するもので、20分をめやすに150 語以上の文章にまとめる。受験者はデータをまとめたり比較しながら、物事の進行具合やその結果がどうなったかについて英語で表現する力が評価される。
 ふたつめの課題は、与えられた主張に対して、自分の意見を述べ、論証する課題。40分くらいの間に 250語以上の文章を書かなければならない。
 前者の課題は、客観的な記述、後者は主観的な論証と考えるとわかりやすいだろう。
攻略のポイント
 出題される2問は、選択の余地はなく、いずれの問題も制限時間内に答えなければならない。多くの日本人が苦手とする分野。ふだんからの勉強により大きく差がつくセクションともいえる。試験にあたっては、時間配分をまちがえないことも重要。

4. Speaking
口頭での英語運用能力が試される
試験の形式
 試験時間は12 〜 15 分。1 対 1のインタビュー形式で行われ、試験管の指示に沿って、試験が進行される。インタビューの様子は録音されるが、これは試験管の主観で判定にばらつきが出ないように再審査用に備えるためである。
内容と傾向
 スピーキングのセクションはさらに5つのセクションにわかれている。第1、第2のセクションでは、簡単な自己紹介と受験者自身の日常生活や出身国の文化などに関する質問に答える。第3セクションでは、渡されたカードの指示に従って、試験管に対して質問することを求められる。第4、第5のセクションでは、今後の学習計画などを述べ、質問に受け答えをする。退室の挨拶までは、評価の対象となる。
 流暢かつ正確にコミュニケーションがとれるかどうかが測られるが、試験管は、あらかじめ準備した答えを言えないように話を先導することになっている。
攻略のポイント
 緊張は禁物。日頃からリラックスしたムードで英語で話す練習を積んでおくことが大切。試験管の質問がわからなかった場合もあわてず、もう一度質問してくれるように頼めばよい。すぐの答えが見つからない場合も、黙り込むのではなく、試験管に少し待ってくれるよう頼もう。

IELTSの採点基準
リスニング及びリーディングのセクション
 1問1点として計算された合計点を、あらかじめデータを採って作成されているテーブルにあてはめ、バンド数(0〜9.0)に換算する。
ライティングのセクション
 採点基準は細分化されているが、時制の一致などはいうまでもなく、語彙力や文の構造がいかにバラエティに富んだものなのか(たとえばSVOの構文だけでなく、分詞構文、受動態、不定詞構文なども使われているか)、また欧米の標準的文章スタイルを採っているか(Introductionがあり、Topic Sentence を含んだ Body があり、Conclusionがあるかどうか)といったことを総合的に評価される。250語以上書く2番目の課題のほうが、評価の比重が高くなっている。
スピーキングのセクション
 質問に対してその答えを論理的に述べているかどうか、試験管の言っている意味が理解できないときにも沈黙せずに質問する等して会話をつづける能力があるかどうか、などが大切なポイントとなる。流暢に話せることも重要だが、一方的な会話の運びにならないように気を配ること。会話中の文法的な誤りや時制の一致といったこともチェックされ、総合的に評価される。




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