No.10「夏の風物」(2002/2/5)


南半球のクリスマスは夏だというのは周知の通り。サンタがサーフボードに乗ってやって来るのはオーストラリアのゴールドコースト近辺だが、ここニュージーランドではやっぱりサンタは煙突からやってくる。

暖炉の回りに靴下を吊るし、サンタが沢山のプレゼントを入れてくれるのを子供達は楽しみにしている。暖炉の上や横にはグラス一杯のミルクとお皿に数枚のビスケットをサンタの為に置いておく。

サンタ扮するママやパパは子供達が寝静まった夜にミルクを半分飲み、そしてビスケットを半分かじる。翌朝子供達はサンタのかじったビスケットを見て大喜び。サンタがミルクとビスケット好きだったのは知らなかったが、(中にはサンタはビール好きと吹き込み、子供にビールの缶を用意させる不届きな親もいるらしいが)クリスマスのイベントは商業ベースと怒る事なかれ、なかなか楽しいものである。

海外でクリスマスを過ごすのは(この場合西洋圏に違いないと推察するが)素晴らしく素敵な事に違いないなどと考える人がいる様だが、これはおおよそ的外れな考えである。

クリスマスは、個人主義の西洋圏の人々が唯一家族全員または親しい友人達と集ま
り、その絆の再確認をする日という雰囲気だ。日本で言えば、元旦に実家で正月を祝うという感じに近いだろうか。公共の交通機関はほとんどストップし、店もすべて閉店する。

教会のミサに出席する人もいる様だが、何せ夏のクリスマスは荘厳な雰囲気とは懸け離れ、サンダルにサンドレスという格好の人もいる。

この日、家族で伝統的なクリスマスディナー(ディナーとは言うが、これは数時間に渡る昼食の事を指す)を食べる家庭もあるが、ここニュージーランドではバーベキュー(以下BBQ)を行う家庭が圧倒的である。

ニュージーランドの国民食を御存じだろうか?
テレビはなくともBBQセットを持たない家庭は皆無と言えるこの国では、公園のいたる所にも公共のBBQ設備がある。御丁寧にマキなども用意してある。

天気が良ければ至る所でBBQ。クーラーボックスに山盛りのビールを冷やし、盛大に肉を焼く。ビーチでも公園でも家庭でもどこでも肉を焼く。一気に大量の肉やソーセージを焼きそれを皿に盛りつけ、各自が取り分けて食する。

日没が9:00pmくらいの夏の期間、長い夕暮れを国民が皆で肉を焼く。そして夏の期間毎週末どこかの家にBBQに招待される。借りに誰かの家に招待された場合でも、自分のビールと肉は持参するのが約束事の様だ。招待する側も客がビールも肉も持参なら気軽に呼べるに違いない。

クリスマス休暇から続くBBQの週末、胃も丈夫になるというものだ。付け加えれば瞬
間最大体重も測定した。(余りの事に体重計から飛び下りたので、正確な数字は今もって不明確である)

このBBQのシーズンが終わると秋。夏時間が終わり時計の針を1時間遅らせる頃秋風を感じるようになる。それまでの間あとしばらくこの素晴らしい気候と、ステーキを堪能する事にしよう。


フローレンス@NZ
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