アメリカでインターンがしたくてIBPに参加した私は、シアトルにあるシーファースト銀行の国際部でインターンをすることになった。動機としては、ちょうどその頃日本の金融業界はビックバンによりこれから様々に変化していくだろうと誰もが予想しており、そんな日本市場を虎視眈々と狙っている諸外国勢は日本市場をどのように分析しどんな戦略で進出しようとマーケティングを行っているのか、とても興味があった。国際部は「平たく言えば、お客様を獲得してくるところ。マーケティング部門なのです。」と、インターンをする際の面接時に言われた。
六月末からインターン生活が始まった。ベーグルと牛乳の朝食を簡単に済ませると、毎朝7時ちょっと前に家を出て、215のバス停まで歩くこと15分。マーサーアイランドを通り抜けると、いよいよダウンタウンのビル群が目の前に見えてくる。4thストリートからダウンタウンに入り、コロンビア・シーファーストビルの目の前で降ろしてくれる。いつも沢山の人が降り、アリのようにビルに入ってゆく。エレベーターで13階まで上がると、そこが国際部である。面接時に「ここはマーケティング部です。」と言われてはいたが、私が考えていたようないわゆる諸外国を対象としたマーケティングではなく、基本的にワシントン州内にオフィスを構えている企業や個人を対象としているものだった。そう言った訳で、日本企業との商談があると私も何かと同行させてくれた。
このインターン期間中に、お隣韓国ではひどい不況により幾つかの韓国大手銀行が存在しなくなった。コリアセグメントはそれに伴う処理に追われた。私もかつて外為課にいたので、そのリストを見た瞬間、自分の目を疑うほど大きなショックだった。「OXお前もか…」という気分だ。何より韓国との輸出入取引の俄然多い企業を抱えている日本の銀行(外為)ではその対応にどんなにか大変だろうと、自分のことのように思い描くことが出来た。実際、日本の商社から問い合わせの電話が鳴った。
インターン同期としては、マットとイザベルがいた。彼らはとてもNICEで、心を開いてとても楽しくつき合うことが出来た。同期がいるとは甚だ予想していなかったので、彼らの存在はとても心強かったし、何よりインターンをより楽しいものにしてくれたように思う。仕事場以外で合うときはいつもとは違う顔を見ることが出来て、ほっとしたり悪い冗談を言い合ったりした。?お昼休みは一時間もらえた。その間、食事を済ませウインドウショッピングにぶらぶらと出かける。昼食はサンドウィッチを持って来ることもあったし、テイクアウトや外食をする時もあった。夏は毎日良い天気で、ウインドウショッピングに費やす時間もついつい長くなってしまう。これをしたい為、早々と席で昼食を済ませ、「じゃ、行こうか!」と、イザベルとショッピングに繰り出すこともよくあった。歩いているだけでも、外で風に吹かれているだけでも、細胞まで酸素が行き届くような、そんな気持ちの良い季節だった。
秋らしい雰囲気を辺りに感じるようになると、インターンも終了となった。3ヶ月弱という束の間のインターン体験ではあったけれど、自分が予想していた以上に実りの多い期間であった。時代の流れをほんの一瞬でも感じ、そこを軸に行き交う人々、起こったことを通して得たものは、自分にとってこれから先大いに意味のあるものになりそうな気がする。
余談になるけれど、シーファースト後援のパーティーにて、前フィリピン大統領のアキノ氏と直接お話をするという機会にも恵まれた。テレビで見ているよりもずっと優しい雰囲気を持った方だった。
最後に、このインターン・アレンジに奔走し、有意義な研修期間を与えてくださったBCCの諸先生方に、この場をお借りして沢山の感謝をしたいと思う。
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