コロナ禍のアメリカで有給インターンを獲得するための秘訣とは?!

世界中の人々の生活を一変させてしまった新型コロナウイルス。アメリカも例外ではなく、人々の行動が制限されたことをきっかけに働き方が変わりました。アメリカは日本と比較して、コロナ前から比較的リモートワークやフレキシブルな働き方が浸透しておりましたが、コロナ禍の今、さらに多くの企業でリモートワークが採用されています。
伴い、インターンシップ探し、就職活動もオンラインで行うことが主流となりました。アメリカでインターンシップ探しをオンラインでおこなうとは、一体どのようなものなのでしょうか?今回は、IBPビジネス留学(注1.)を通してアメリカ・シアトルのワシントン大学に留学し、現在はOPT(注2.)を利用してインターンシップ中の末次さんにお話をお伺いしました。まさにコロナパンデミックの最中で履歴書の提出から面接までをこなしてきた末次さんに、リアルな経験を聞いていきたいと思います。

注1. 株式会社ICCコンサルタンツが主催運営する大学での学びと海外企業でのインターンシップを組み合わせた1年間の留学プログラム。1989年に1期生を送り出して以来、延べ5500名の卒業生を輩出している。

注2. OPT(Optical Practice Training):F1ビザ(学生ビザ)の学生で一定の条件を満たした方に与えられる、アメリカ各地で最大12ヶ月までの実践的な就労経験を得られる機会。有給または無給のインターンシップが可能。

プロフィール

末次笙悟さん

2020年1月に渡米。3月からIBPビジネス留学ワシントン大学コースに参加。

渡米後すぐにコロナパンデミックが始まったが、シアトルに残ることを決断。オンライン授業をこなし無事にカリキュラムを修了。現在はシアトルに残り、複数の企業で有給ポジションとしてリモートインターン中。

目次

オンラインでのインターンシップ探しとは?

ICCスタッフ

OPTビザなのですね?有給インターンだとJ1が有名ですが。

末次さん

そうですね、ワシントン大学でビジネスを3学期分受講することで、OPTビザの資格を取得しました。IBPプログラムの中でも、ワシントン大学コースと一部のアメリカのコースはこれで有給インターンができます。(※)
インターンシップの期間を最長12ヶ月まで延ばすことができますし、全米から探すことが可能です。

※シアトルセントラルカレッジアドバインスOPTコース、サンフランシスコ州立大学OPTコースが可能です

ICCスタッフ

どのようにインターン探しをされましたか?

末次さん

基本的にはウェブサイト、ジョブサイトを使ってインターン探しをしました。LinkedIn,Indeed, glassdoorをメインに、ワシントン大学生は「Handshake」(注3.)を使用することができたので、聞いたことのあるジョブサイトにはすべて自分のレジュメを上げて、情報を掲載。検索をかけて興味のある会社に応募していきました。

注3. ワシントン大学が所有する職・インターンシップ探しのためのオンラインデータベース

ICCスタッフ

何社くらい受けましたか?

末次さん

170~180社くらいにオンラインで申込をして、そのうち58~60社くらいから返信がありました。そのうち60%くらいの会社はいわゆるお祈りメールで、20数社が次のステップに進みました。残りの100社を超える企業は返信なしでした…。

ICCスタッフ

返信をもらうだけでもかなり絞られるのですね。

末次さん

申し込んだ10%が面接に進める感覚でいたほうがいいと思います。
30~40%が返信をもらえて、そのうちの何%かが面接に進めるという感覚ですね。

ICCスタッフ

コロナ禍でなくても留学生にとっては面接にたどりつくことが大変ですが、それ以上に大変だという感じがしますね。

末次さん

そうですね、僕の場合はレジュメが最初ものすごく弱かったので、改訂前のレジュメで申し込んだところはほぼダメでした。レジュメを改善した後で面接に進めるようになりました。レジュメの作り方は本当に日本での就活以上に大事かもしれないですね。

ICCスタッフ

なるほど。レジュメがとっても大切ということですね。

オンライン下の選考方法・内容とは?

ICCスタッフ

連絡をしてから面接にたどりつくまでどのようなプロセスがありましたか?

末次さん

基本的には会社のウェブサイト、もしくはindeedやglassdoorが代行している申込フォームで申込をして、レジュメ、カバーレターなど基本的な情報を送信します。その日、または次の日に連絡がきて次の面接の日程を決めましょうという会社もあれば、1ヶ月後、2ヶ月後に連絡がくる会社もありました。会社によってバラつきがありますが、大手は遅かったイメージですね。中小企業は比較的早い感覚がありました。

ICCスタッフ

大企業の場合、申込む人の多さも関連しているかもしれないですね。

末次さん

そうですね、全米からの応募が可能になっているので。1つのポジションで1名しか採用しないのに900名以上の応募があったというメールをいただいたところもありましたね。

ICCスタッフ

倍率が900倍とはすごいですね

ICCスタッフ

会社によって違うとは思いますが面接は大体どれくらいの時間使っていましたか?

末次さん

ステージによって違いますが、最初に書類審査を突破したら、ほとんどの会社が電話でインタビューをします。平均30分程度ですが、早いところは10分15分くらいで終わりました。簡単に[tell me about yourself]など、いわゆるtypical questionというものをパパっと聞かれ、回答がしっかりしているのか確認をしたら、また次回、という感じですね。
最初は電話で、次がZoomなどのビデオ会議ツールを使った面接です。約30分~1時間くらいの面接ですね。

ICCスタッフ

最初は顔も見ずに電話だけで会話が終わってしまう感じなのですね。

末次さん

そうですね、Hello, How are youから始まって本当に会話している感じですね。

ICCスタッフ

一番最初からZoomなどを使うという会社はなかったですか?

末次さん

もちろんそのような企業もありました。30分~1時間という企業もありましたし、完全ビデオ形式(録音型)もありましたね、Amazonなどはその形式でしたね。質問がデジタルで出てきてそれに対して30秒なり自分で考える時間が与えられて、自分で録音ボタンを押して答える、その録音されたものを送信して提出という感じです。

ICCスタッフ

面接の相手がいない状態で機械に向かって行うのですね。

末次さん

そのような会社も結構ありました。

ICCスタッフ

さすがシアトル。テクノロジーの街ですね。
1回目は電話とおっしゃっていましたが、電話とZoomどちらの方が末次さんとしては楽でしたか?

末次さん

個人的には電話の方が楽でしたね。というのも相手が見えないのでこちらもそこまで緊張することがないですし、ふるまいにも気を遣う必要はないですし。なによりカンペができたので。

ICCスタッフ

なるほど。これも会社によって違うと思いますがだいたい何ステップ、何次面接くらいまでありましたか?

末次さん

レジュメを含むとレジュメで1回、電話で1回、多いところだとそこから2回Zoomの面接がありました。ほとんどが全部で3~4回のステップですかね。

面接でよく聞かれること・ポイントとは?

ICCスタッフ

では、面接でどのような質問をされましたか?

末次さん

そうですね、いわゆる典型的な質問を聞かれますね。[tell me about yourself]など。あと日本の就活と異なり一番苦労したのは[why do you wanna this job?]という質問でした。何でこの仕事が欲しいんですかという部分は少し変な感じがして、もちろん仕事は欲しいと思うので。「なぜこの仕事に応募したんですか」ということはよく聞かれますが、強み弱みを聞かれることはなかったですね。最初の[tell me about yourself]のパートで、ほとんどの受験者が自分の強みをアピールしてくると思います。

ICCスタッフ

末次さんはどのように対策していましたか?

末次さん

例えば、「なぜこの会社で働きたいのですか」「あなたはこの会社でどんなことができますか」という質問が来たときに、2つの視点で、「僕はこういうことがやりたい」「それをすることであなたの会社にはこういうメリットがある」という2つを組み合わせて答えるようにしておきました。

ICCスタッフ

たくさん面接をこなされてきたと思いますが、一番大変だったことは何ですか?

末次さん

回答の準備が一番大変だったかもしれないです。よく聞かれる質問をブラッシュアップしていく際に、会社のリサーチをして、こんなこと聞かれるかなと想像しながら準備していきますが、なんとかなるだろうと思って最初そういった準備を一切やりませんでした。調べずにホームページをちらっと見るくらいで。
インタビューはその場で何を聞かれるか分からないので、準備しても無駄だろうという感覚でいました。きっかけはAmazonの面接が決まった時でした。とても特殊で、14種類くらいの「Leadership Principals」という経営理念があるのですが、それについて最低2つくらいは回答を準備しておかないと大変だと、ネットやYoutubeで言われていて。14~28個はストーリーを用意しておかないと大変だよと書いてありました。僕はめんどくさがり屋だったので14個も用意はしなかったのですが、Typical questionと合わせて11~12個くらいは回答を用意しました。結局Amazonはダメだったのですが、苦労して準備したそのストーリーが次からの面接で応用できたので、大変でもやっておかないといけなかったなあと痛感しました。全く準備しないで面接を受けた会社もあるので、準備していたらもっと早く働き口が見つかったのかなと感じましたね。

ICCスタッフ

日本での社会人経験もおありなので、日本の就職活動は経験されていらっしゃると思います。日本での経験との比較で構わないのですが、対面でする面接と、Zoomなどオンラインでする面接と一番大きな違いはどこだと思いますか?

末次さん

そうですね。特にオンラインだから、対面だからという違いは正直そんなに感じていないです。オンラインだと雰囲気が伝わらない、自身の持っているオーラが伝わらないというのはもちろんあるかもしれませんが、細かいところでいうと照明を明るくしたり、背景を綺麗にしたりという気遣い以外は、大きな違いはなかったです。
日本とアメリカだからという違いも、正直そこまで大きくは感じていません。もちろん細かいところで言うと先ほどのような日本にはない質問というのはあるかもしれないですが、基本的に日本で就活に臨む軸が確立されている場合、それはアメリカでも通用すると思っていました。僕の場合は、自分が持っている考えの軸を一切ぶらさずに自分の回答を組み立てていくことを常に念頭に入れて、ロジカルに筋が取っているかと言うことにフォーカスしていたので、アメリカだから日本だから、オンラインだから対面だからということはそこまで感じなかったですね。

ICCスタッフ

なるほど。きちんと自分がどう向き合うのか計画を組み立てておくことが大事ということですね。

末次さん

あとは、給料だけ聞かれるのが新鮮でした(笑)

ICCスタッフ

そうですね、アメリカではいくら欲しいのかと聞かれますよね。

末次さん

直接聞かれるのは抵抗がありましたね。平均を言えばいいよとアドバイスをもらいますが、平均なんて会社によっても違うと思うので、苦労というかなんだか違和感がありましたね(笑)

ICCスタッフ

他に面接で意識したことはありましたか?

末次さん

経験が重視されるので、学生さんは自分が大学でやってきたことを相当アピールしないと目を向けてもらえないと思います。特に有給の場合は。
僕が聞いたところによると、ハーバードや有名な大学を出ている学生でもインターンの経験がないと雇ってもらえないみたいなので、本当に経験を重視するのだと思います。その経験でどんな結果を残したのかを端的に述べないといけないですね。日本と違うことは、1分ではなくて30秒程度で短めに回答していました。オンラインだと会話が重なったときに聞き取れないので、端的にまとめて、相手に質問させると言うことを意識していました。
正直にいうと、最初の10秒20秒くらいしか聞いてもらえないので、長々と話しても無意味だなという傾向が見て取れました。

ICCスタッフ

最後にこれから留学に臨むIBP生や後輩に向けて一言コメントください。

末次さん

僕の経験から言えるのは、早くから準備した方がいいという点。英語での面接が、異常なほどに大変でした。ここに慣れること、この2つだと思います。基本的な準備と英語力は来た当初から培っておかないと面接が始まる直前だからどうにかなるというものではありません。僕の場合は、事前に作った回答を暗記するレベルまで叩き込んでおき、いかにネイティブのように振る舞えるかカモフラージュをして、ようやく何回も回数を重ねた結果、何とか最後の方には回答に関しては流暢に話せるように、ごまかしがきくようになったという感じなので、そこはしっかり準備されていた方がいいのかなと思います。
文法は本当に関係なくて、自分が英語が話せないという気持ちがどこかにあるとどうしても声に自信がないように聞こえてしまいます。外国の方が「こんにちは」と言えるだけで日本語話せますと言ってしまうくらいの自信をみせていかないと苦労するので、それくらいの気持ちで特に日本人は堂々と挑んでほしいと思います。

ICCスタッフ

なるほど、とても参考になります。これからが本番ですね。インターンシップのお仕事頑張ってくださいね!
今日はお時間いただいて本当にありがとうございました!

まとめ

急なパンデミックで行動が制限される中でのインターンシップ探しは大変なことも多かったと思います。そんな中でもアメリカで就労経験を積むという目的に向かって、今ある環境の中でできることから取り組み、見事にインターンシップ先を獲得した末次さんの行動力は素晴らしいものでした。現在は、コロナワクチン接種が進み、経済活動の再開に向けて少しずつ対面の活動が戻って来た都市やエリアも出てきました。一方、オンラインの利便性を評価してリモートワークを継続する企業もあります。今後はオンラインと対面をうまく使いこなすことも必要になるかも知れないですね。

まだまだ流動的な状況下。日本においても就活のあり方が変わりつつある今、まさに末次さんのような適応力や行動力のある人材が求められているのではないでしょうか。環境に負けず、挑戦し続ける皆様をICCも応援し続けます!

Author: 大八木 三由希
(株)ICCコンサルタンツ・ビジネス留学研修事部
コンサルタント AOS認定留学カウンセラー/オーストラリア政府認定カウンセラー