小嶋崇文さん

参加コース:Swiss Diploma In Hotel Operational Management
留学期間:2006年11月~2008年6月
インターン先:Hotel La Reserve Geneve

1985年生まれ、東京都出身。成蹊大学(文学部国際文化学科)3年の時に休学してSHMSに留学。インターンシップは、スイス・ジュネーブの5つ星ホテルHotel La Reserve Geneveの中にあるレストランle lotiで体験した。現在は商社に勤務。

Q:SHMSに留学した動機を教えて下さい。

高校、大学時代ともレストランやホテルの宴会場でアルバイトをしていて、ホスピタリティの仕事に興味を持ちました。ホテル留学をしようと思ったのは、好奇心と、日本国内での将来的なビジネス拡大の可能性を考えてのことです。ホテル業界で働く知り合いやホテル専門学校の先生の勧めもあり、SHMSに留学することに決めました。

Q:留学する上でどんな目標を立てましたか?

英語で誰かを笑わせられるようになること。英語は単なるコミュニケーションツールでしかないので、それだけの修得ではなく、それを使った自己表現ができるようになることと、英語の文化背景の理解をすることを目標にしました。

Q:SHMSでの専攻は?

最初の3ヶ月はEnglish foundation courseからスタート。その後、本科に進んでSwiss Diploma In Hotel Operational Managementを専攻し、1年半学びました。

Q:特に印象に残っている授業はどんな内容でしたか?

1年目の時に受けたワインの基礎知識とテイスティングの授業です。毎週金曜日の授業では、朝8時からワインやリキュール、スピリッツをテイスティングしました。本当はひと口だけ口に含んで容器に出し、口の中に残った少量で判断しなければいけないのに、ほとんどの学生はそのまま飲んでいました。私もその1人。おかげで、金曜日の残りの授業は良い調子で受けられました。アルコールに慣れていない女の子は、少量口に含んだだけでも酔っぱらってしまうらしく、大変そうでした。

Q:苦労した授業は?

イベントの授業です。数ヶ月かけてイベントを企画・運営するという内容で、コストを細かく計算し、小さなイベントをいくつも企画することで資金を集め、さらにはスポンサーになってくれる企業探しに至るまでが授業の一環でした。目標は利益を出すことだったので、とてもシビア。その間は睡眠時間も激減し、イベントの方向性で友達と衝突して関係が悪化することもありました。でも最終的に成功を収め、私がクラスのベストMVPに選ばれた時の達成感は忘れません。

Q:英語力アップのためにどんなことをしましたか?

英語が母国語か、もしくは英語が達者な人と一緒にいるようにして、分からないことを恥ずかしがらずに聞くようにしたり、また、言いたいことを英語の言い回しでどう言うのかを常に考え、日本語ではなく英語で考えるように心掛けていました。

Q:勉強以外に熱中していたことはありますか?

テニスが趣味だったので、いろいろな国籍の人とテニスをしました。キャンパスには卓球台もあり、テニス同様、たくさんの人と一緒にプレーしました。スポーツを通じてコミュニケーションも円滑になるし、とても良かったと思います。

Q:現地での寮生活はいかがでしたか?

すぐに寮の仲間たちと会って、悩みや喜怒哀楽、良い時間を共有できるのが良かったです。友達が私の知らない友達を自分の部屋に連れてきて知り合いになったり、仲の良い連中とは決まった時間に食事を共にしたり、とても充実していました。

Q:インターン先はどのように探しましたか?

インターン先はHotel La Reserve Geneveです。スイス・ジュネーブの5つ星ホテルで、その中にあるレストラン「le loti」でインターン体験をしました。スイス国内にあるフランス語圏で働きたいという希望があったのですが、なかなか見つからず、ジュネーブの全ての5つ星ホテルにCVを送りました。が、フランス語が初心者レベルだったため、大半のホテルからは断われてしまいました。唯一、Hotel La Reserve Geneveで面接を受け、その場でインターンできることになりました。

Q:インターン中の忘れられない思い出はありますか。

シェフの休暇中に、2人の社員も体調が悪くて休み。仕方なく、インド人とブラジル人のインターン生と私でやりくりしなければならないという日がありました。キッチンシェフに「お前が代理のシェフだ」と言われ、力を合わせてどうにか1日乗り切りました。帰りがけに、3人にご褒美のビールが配られ、そろってガッツポーズをしたことが忘れられません。ここでのインターンを通して、忍耐力と適応力、判断力に加え、多国籍の中でも働けるという自信が身につきました。

Q:ホテル留学の経験は、小嶋さんの価値観やキャリア形成にどう影響したと思いますか?

ホスピタリティーとは相手をもてなす、思いやること。これは結局、どのビジネスにも必要とされています。相手の立場に立ち、何を考えているのかを察知し、ニーズが何かを読み取ることが最も重要です。その精神を、それを冠とする業界で学んできたので、今後必ず何らかの形で活きてくると信じています。将来的には、どんな形でも良いから、海外と日本との架け橋になるようなビジネスがしたいと思っています。

Q:ホテル留学の希望者に向けて、アドバイスをお願いします。

日本人は生まれながらにして「気遣い」「さり気なさ」「察知」「思いやり」「もてなし」というキーワードに代表されるような感性が豊かで優れていると思います。それを武器にすれば、間違いなく日本は世界一のホスピタリティー大国になれると信じています。問題は、絶望的とも言える日本人の平均的な英語力の低さ。そして自己を主張しないことが美徳とされる国民性、マーケティング力の低さです。日本人の感性を忘れず、その良さを生かすこと。とにかく英語でのコミュニケーション力を磨くこと。多国籍の中で自分の良さを売り、謙遜し過ぎしないこと。これが、持論に基づく私からのアドバイスです。