ニュージーランドの高校に通う学生が目指す資格のひとつに「NCEA(National Certificate of Educational Achievement)」があります。これは留学生に限らず、ニュージーランド全土で統一された高校の卒業資格であり、進学や就職の際の大切な基準となるものです。今回はこのNCEAについて纏めてみました。
NCEAって何
NCEAは日本の大学入試センター試験や、イギリスのAレベル、国際バカロレア(IB)と同様に、学生の学習成果を客観的に評価するための仕組みですが、その特徴は「柔軟で実践的」な点にあります。

NCEAは3段階のレベル制
NCEAはYear 11〜13(日本の高校1〜3年生に相当)で、それぞれ「Level 1」から「Level 3」までの資格取得を目指します。学生は毎年、自分の興味や進路に応じて教科を選び、単位(クレジット)を積み上げていきます。たとえば、Year 11ではLevel 1、Year 12ではLevel 2、そしてYear 13でLevel 3に挑戦する、というのが一般的な流れです。
学力評価は「結果」だけでなく「過程」も重視
NCEAのもう一つの大きな特徴は、評価方法にあります。日本のような一発試験とは異なり、NCEAでは年間を通じて行われる「内部評価(校内テストやプロジェクト)」と、年末に行われる「外部評価(全国統一試験)」の両方を組み合わせて評価します。
各教科には「達成基準(Achievement Standards)」が定められており、学生の成績は以下の4段階で判定されます:
- Not Achieved(未達成)
- Achieved(達成)
- Merit(優秀)
- Excellence(卓越)
このように、「できたか/できなかったか」だけでなく、「どの程度できたか」まで細かく評価されるのです。
卒業や進学に必要な「クレジット」
各レベルでNCEAの資格を取得するには、決められた数のクレジット(単位)を獲得する必要があります。その中には「読解力」や「数的リテラシー(計算能力)」といった基礎スキルの取得も求められます。クレジットは1年間で取得しきれなくても、翌年以降に繰り越して蓄積することができるため、焦らず自分のペースで学ぶことができます。
国際的にも認められた資格
NCEAはニュージーランド国内だけでなく、オーストラリア、イギリス、アメリカなど海外の大学でも入学基準として認められています。特にLevel 3までの成績は、大学進学時の重要な判断材料になります。
たとえば、一定の科目で「Excellence」や「Merit」の成績を収めることで、大学奨学金の対象になったり、優先的に入学許可が下りることもあります。
2023年以降のNCEAの主な変更点
リテラシーとニューメラシーの共通必須要件(Co-requisite)の導入
2024年から、リテラシー(読解力)およびニューメラシー(計算能力)の基礎スキル習得が、すべてのNCEAレベルにおいて共通の必須要件となりました。この変更は、学生の基本的な読解力と計算能力の強化を目的としています。
NCEAレベル1の評価基準の全面的な見直し
2024年から、NCEAレベル1の新しい評価基準が全国で導入されました。各教科には4つの評価基準が設定され、内部評価2つ、外部評価2つで構成されています。詳細は以下のリンクからも確認可能です。
この変更は、学生がそれぞれの教科でより深く学べるようにすると同時に、教師が学生に対してわかりやすく、効率よく教えられるようにすることを目的としています。
NCEAの優れている点
1. 一人ひとりに合わせた柔軟な学び
NCEAでは、生徒の興味や将来の進路に合わせて、学ぶ教科や内容(ユニット)を自由に選ぶことができます。そのため、自分に合った学び方ができ、やる気を引き出しやすくなっています。また、勉強だけでなく、職業に関わる実践的な学習も評価の対象になるので、さまざまな進路に対応できます。
2. 知識だけでなく「使える力」を評価
覚えたことをテストで答えるだけではなく、問題を解決する力や、自分で考えて行動する力が重視されます。特にLevel 2や3になると、リサーチやプロジェクト、実技などを通じて、実際に力を発揮する場面が多くあります。
3. 将来に役立つ力を育てる
NCEAは、これからの時代に必要とされる力を身につけることを目的に設計されています。たとえば、人と協力する力(チームワーク)、自分の考えを伝える力(コミュニケーション力)、コンピュータやインターネットを活用する力(ICT活用力)など、社会で活かせる力を大切にしています。
留学生のNCEA達成状況と実績
実際にNCEAに挑戦している留学生の多くは、高い学習意欲を持っており、着実にクレジットを積み上げています。ニュージーランド教育審議会(NZQA)の最新データによると、留学生の約85%がNCEA Level 2を達成しており、さらにそのうちの約60%はLevel 3まで進んでいます。特に、数学や科学などの科目で優れた成績を残す学生が多く、「Merit」や「Excellence」の評価を獲得する割合も年々増加傾向にあります。また、NCEAは内部評価が重視されるため、英語に不安のある学生でも、時間をかけて準備ができる点が大きな利点です。語学サポートやESOL(英語学習支援)を受けながら、段階的に力を伸ばしていける環境が整っているため、初めて英語圏で学ぶ学生にとってもチャレンジしやすい仕組みとなっています。
このように、NCEAは留学生にとっても現実的な目標となり得る制度であり、多くの生徒が自信を持って将来の進学やキャリアに向けて歩んでいます。纏めると、NCEAはただの「高校卒業資格」にとどまらず、生徒一人ひとりの得意分野や将来の目標に応じて柔軟に対応できる、非常に実践的な制度です。試験の点数だけでなく、プロセスや継続的な学びを評価するという点においても、多様な学びのスタイルを支援しています。
ニュージーランドでの留学や教育に興味のある方は、このNCEAの仕組みを知っておくと、進路選びのヒントになるかもしれませんね。

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