高校留学の渡航国を選ぶにあたり、治安などとあわせてしっかり理解しておきたいのが「教育システム」です。日本とは全く異なるカリキュラムで学習するため、自分に合った学習スタイルかどうかを見極めることが大切です。今回はニュージーランドの教育システム「NCEA」をご案内します!

■目次

①NCEAの特徴を理解することが最重要

・学校による教育差のない国全体の統一カリキュラム

・高校生が目指すLevel1、2、3、UEの取得要件

②ニュージーランドの高校卒業資格とNCEA資格の違いは?

・ニュージーランドにおける「卒業」の考え方

・日本の高卒認定は取得不要

③ニュージーランドの高校卒業後、日本や海外の大学に入学できる?

・ニュージーランドの大学や海外の大学進学に必要となる資格

・日本の大学進学に必要な要件は大学により異なる

①NCEAの特徴を理解することが最重要

NCEAとは National Certificate of Educational Achievementの略で、ニュージーランドの政府教育機関であるNZQAが管轄する教育システムを指します。現地学生も留学生もNCEAのカリキュラムに沿って学び、高等学校での達成度を証明する国家資格のNCEA Level1、2、3の取得を目指します。NCEAの成績および取得資格が進学の判定基準になるため、重要な資格とされています。NCEAの制度や資格取得要件は非常に複雑で日本の教育制度とも大きく異なるため、事前に理解したうえで留学を決めることが非常に重要です。

学校による教育差のない国全体の統一カリキュラム

前述のとおり、NCEAはニュージーランドの政府教育機関が管轄するシステムであり、公立・私立にかかわらずニュージーランドのほぼ全ての高校はNCEAのカリキュラムに沿って勉強しています。なお、一部の学校ではIB(国際バカロレア)プログラムも提供しており、IBプログラムの受講が認められた場合はNCEAではなく国際バカロレアのカリキュラムに沿って学ぶことが可能です。

日本の高校は、学校により偏差値や授業の進度に大きな違いがありますが、ニュージーランドではカリキュラムが国で統一されており評価基準も決められているため、学校による教育格差がほとんどありません。

高校生が目指すLevel1, 2, 3, UEの取得要件

NCEAの単位取得の試験は、日本の高校1年生に相当するYear11から始まり、各高校はNCEAで定められた評価基準の基に査定や評価を行います。多くの科目では「インターナル(Internal)」と呼ばれる課題提出や学内での試験と、「エクスターナル(External)」と呼ばれる全国統一試験を含む評価方法が組み合わされて結果が出されます。

NCEAの科目にはレベル1〜3があり、Year11(高校1年生相当)では主にレベル1を学び、学年が上がると履修する科目のレベルも上がっていきます。ただし、必ずしも所属する学年と履修する科目のレベルが一致する必要はなく、科目によって異なるレベルを履修することも一般的です。

高校生で取得できる資格は4つあり、Year11相当の学習を修めたことを証明するNCEA Level1、同様にYear12、13相当の学習を修めたこと証明するNCEA Level2, 3、そしてニュージーランドの大学に進学する場合に必要なUniversity Entrance(大学入学資格)です。それぞれの資格の取得要件は以下のとおりです。

②ニュージーランド高校卒業資格とNCEAの違いは?

日本では高校3年間で必要な成績を修めると(単位を取得すると)が得られ、大学を受験する資格も同時に得られます。では、高校で得られる資格が複数あるニュージーランドの制度はどうなっているか、詳しく見ていきましょう。

ニュージーランドの卒業という考え方

ニュージーランドの高校は「〇〇単位取得したら卒業できる」もしくは「〇〇単位取得しないと卒業できない」という考え方ではなく、高校卒業時にNCEAの資格をどこまで取得したかにより卒業時の最終資格が決まる仕組みです。そのため、Year13(高校3年生)を終えた時点で取得している資格は学生により異なります。また、NCEA Level3を持っていてもUE(大学入学資格)を持っていない場合は、高校卒業レベルの学習を修めたことは証明できますが、現地の大学に入学する資格はない、ということになります。高校修了時に取得をしたレベルと成績により、進学したい大学・専門学校などへの入学の合否が決まります。

現地生徒には日本のような「卒業証書」という書類は発行されませんが、多くの場合で大学進学時に卒業証明書が必要となるため、必要な場合は学校に依頼して特別に発行していただくことになります。ただし、学生の成績や資格の取得状況によって「卒業証明書は発行できない」と学校に断られる場合もあるため、事前に確認・相談が必要です。

日本の高卒認定は取得不要

ニュージーランドの高校を無事に卒業することができた場合は、日本の高卒認定試験を別途受験する必要はありません。ただし、日本のような「卒業証書」はニュージーランドにはないため、現地の高校を卒業したことを証明するための書類として「卒業証明書」を高校に発行していただくとよいでしょう。進学や就職の際に提出を求められる場合があります。

③ニュージーランドの高校卒業後、日本や海外の大学に入学できる?

ニュージーランドの高校を卒業した後、ニュージーランドの大学はもちろん、日本やニュージーランド以外の国の大学に進学することも可能です。国により大学の特徴や卒業までにかかる期間、授業料などの費用は異なりますが、出願時の一般的な要件を見ていきましょう。

ニュージーランドの大学や海外の大学進学に必要となる資格

ニュージーランドの大学に進学する場合は、UE(大学入学資格)を取得している必要があります。なお、UE取得の単位数が足りなくても、不足単位数によっては大学の準備コース(Foundation Course)で不足する単位を補い入学することも可能です。

また、ニュージーランド以外の海外大学への進学は、各国や大学、コースによって求められる条件が異なりますが、UEやNCEA Level3の資格が必要となるケースは多々あります。

UEやNCEA Level3の取得は、高校を卒業するにあたって必ず必要となる資格ではありませんが、その後の進路の選択肢が増えるため、取得を目指してみるのもよいでしょう。

日本の大学進学に必要な要件は大学により異なる

海外の高校を卒業して日本の大学に進学する場合、多くの学生が「帰国生入試」もしくは「総合型選抜」での受験をします。大学、学部・学科、入試方式等により出願要件は異なりますが、帰国生入試枠での受験は一般的に最終学年を含む2年以上の現地教育機関への在籍や、多くの場合TOEFLやIELTSなどの英語スコアが必要とされます。その他に出願要件としてNCEA Level3やUEが求められる場合もあります。いくつか興味のある大学を調べ、現地で取得する必要のある資格は何か、どの程度の英語力が求められているかを確認することをお勧めします。


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